せとうち
ディスカバリーフライト

「リングよりきらめく非日常」
上空600m、飛び立つ二人のプロポーズ旅。

サヤカ(28) は食べ歩きと旅が大好きな航空会社の地上スタッフ。夢であるキャビンアテンダントを諦めきれず、何度か別の航空会社への転職試験にチャレンジしている。彼氏であるヒロフミ(29) は、先輩と二人で始めた設計事務所で一級建築士を目指し日々奮闘している。 「来月の誕生日、旅行に行こう。空けておいてね」とヒロフミから言われ、向かった先は尾道市だった。

アテンションプリーズ。

「ほんと、無理とかしなくていいからね」私の誕生日、ヒロ君は「旅行をプレゼントするから」と言っている。一級建築士の試験勉強も佳境だろうに。共通の友人の紹介で知り合って4年。お互い夢に向かう姿勢に惹かれあって付き合うようになった。こういう状況下になって改めて思う。「大切なものしか大切じゃないんだな」と。会いたい友達としか会わなくなったし、欲しいものよりは、必要なものだけを手に入れている。もとからそんな性格なので、誕生日といっても付き合い始めの初年度を除いてはプレゼントは互いに控え、いつもより少し贅沢なものを食べに行くのが習わしとなっていた。なのに今年は旅行ときた。もしかして?いやいやいや……でも年齢的にそろそろ?いやいやいや……ぼんやりとそんなことを繰り返し考えていたらあっという間に時は経ち「アテンションプリーズ。今年は尾道に行きます」と伝えられたのが、誕生日3日前だった。
「ねえ、いい加減どこに行くか教えてよ」新幹線で福山に到着後、レンタカーに乗る。「いつものように、食事に行くだけだよ。食べてみたいパスタがあってさ」設計士の性格なのか、ディテールに並々ならぬこだわりを持つヒロ君は、食べたものを細かく覚え再現する能力に長けており、食べ歩きを一緒にしては普段使われていない私の家のキッチンで、よくパスタを作ってくれている。

SOFU パスタ&カフェ
〒720-0551 尾道市浦崎町1364-6
TEL 084-987-2032
URL http://www.bellavista-marina.jp/cafe.html

ケーキではないサプライズ。

駅から約40分。造船所の横、たくさんのヨットが停泊している「ベラビスタマリーナ」についた。「さあ、お腹もすいたところで、誕生日らしいランチを食べよう」
海を背に「SOFU パスタ&カフェ」に入る。木目と白を基調とした店内を抜け、明るいテラス席に案内してもらう。スタッフの方の、統一されたデニム地のシャツとエプロン、白いパンツとスニーカーが潮風の香りを鮮やかにしてくれるようだ。注文はいつも、食べる係の私が食べたいものを優先してくれる。

POINT!

SOFU パスタ&カフェは名前の通り、目の前に広がる瀬戸内海からの爽風を感じることのできるベラビスタマリーナ隣接のパスタ専門店。地産の旬の食材を贅沢に使った極上パスタを約10種類ご用意しております。ドリンクに使うレモンやジンジャーのシロップも自家製とのことなので合わせて一緒に!

非日常への搭乗ゲート。

SOFU パスタ&カフェの上に、「せとうちSEAPLANES」の搭乗ラウンジがある。宇宙船のトンネルのようなエントランスは、非日常への入り口のようだ。カウンターでヒロ君が搭乗手続きをする。職業柄、サービス業の方のユニフォームなどをついチェックしてしまう私。「かわいい!スカーフがフライトマップになってるんですね」スタッフの人に話しかける。「ちょうど首の後ろにあたる部分が、こちらのラウンジがある境ガ浜になってるんですよ!」いつもは立場が逆なので、新鮮な体験だ。「どうしたのよ、飛行機だなんて」「正確には、水陸両用機だね」「そこじゃなくってさ、なんでここにしたの?」「いや、サヤちゃんさ。キャビンアテンダント目指してるじゃない。来月転職の面接受けられるかも、って言ってたから」ヒロ君がボソッと言う。あごを触るのは照れている時のクセだ。
嬉しい。嬉しいけれどもさ。この水陸両用機……キャビンアテンダントいないし!計器類が好きな航空マニアでもないし!!とは思ったけれど口には出さない。ヒロ君らしいな、と思って純粋に嬉しかった。

ラウンジからはマリーナを一望することができ、大きなガラスはそれを一枚の絵のように切り取っている。用意されたドリンクは、地元のレモンを使ったサイダーやオレンジジュース、宮島ビールなどまである。ナプキンやコースターもいちいち洗練されていて、ショーケースに入ったグッズはどれも可愛い。空港のラウンジというよりは、どことは特定できない非日常感に満ちている。「これ、ピエール・ジャンヌレの椅子だよ……!」すっかり目の色が変わってアンティークの家具や、並んでいる建築関連の本に夢中のヒロ君をみて微笑ましく思う。(私のためとは言いつつ、絶対に自分で見たかったな?)そう思って「こういう家に住みたいねえ!」とニヤニヤしながら告げると、ヒロ君は気まずそうにきらめく海を眺めていた。スタッフさんが、搭乗を告げに来てくれた。

POINT!

せとうちSEAPLANESのラウンジは「せとうちの海に浮かぶ、ちいさな宿」がコンセプトの客船「ガンツウ」と共通のもの。内装の細部から家具にいたるまで随所にこだわりが見られ、インテリアやデザイン好きにはたまりません。ドリンクやスナックもご当地もので揃えられており、マリーナを眺めながらのゆっくりとした時間を演出してくれます。ぜひ早めに到着して、フライトまでの時間を楽しんでみて!

地上600mからの視点。

ラウンジから降りて、カートに乗る。桟橋から、海に反射する光に目を細め「オノミチフローティングポート」を出発するためのデッキに向かう。普通の航空機とは違う高揚感。海に浮かぶ小さな建物で手荷物検査を行ったら、いよいよデッキへ。ピカピカの白い機体と対面、ほんのりジェット燃料の匂いがする。私の大好きな匂いだ。背をかがめ中に入る。革張りのシートに座り、機長から説明を受ける。「ヘッドフォンから広島レーダーと、フライトサービスとの交話を聞いていただけますよ」
管制塔との気象状況や高度などのやりとりが聞ける。普通ではあり得ないことだ。興奮気味に右隣に座るヒロ君をみる。少し足が震えている。(え?飛行機苦手だったっけ?)そういえばヒロ君が提案するプランはいつも鉄道だし、飛行機に乗った時もすぐ寝ていたことを思い出した。それなのにこのプランを選んでくれたことを、なおさら愛おしく思った。
顔を強張らせたヒロ君を横目に、機長が計器類やモニタをチェックしエンジン音が上がる。デッキからは旅客スタッフさんと整備士さんが手を振ってくれている。速度を上げ、船より速く水の上を走る。水しぶきが強くなり、離陸!!じゃなくて向かい風を浮力に変え、離水!!ぐんぐんと高度をあげ、マリーナやあれだけ大きく感じた造船所が小さくなっていく。
「ONOMICHI LOCAL 22…. DEPART TO EAST…」機長の交話だ!心拍数と高度が上がっていく。「間もなく高度は600mです。この辺りが安定しているので水平飛行に入ります。瀬戸内の自然と、橋を中心とした人工物との融合をしばしお楽しみください」揺れが収まる。ヘッドフォンからアナウンスが聞こえる。右手が尾道の街です、と機長が教えてくれる。今日は、生口島をぐるっと一回り、その途中に多々羅大橋を眼下に見て戻ってくる「しまなみコース」だそうだ。「ひょうたん島」と呼ばれる島も見ることができる。天気がよいので、遠く四国の方まで見渡せる。瀬戸内海に反射する光を受けて、島々が宝石のように輝いて見える。

600mという高さ。レモンの産地である生口島の段々畑や、大小さまざまな船の白い航跡が細かに見える。美しい瀬戸内の海に、山に、確かにある人々の営みを思う。こんな状況になってしまったけれども、それぞれの人がそれぞれの持ち場で頑張っている。二人して夢を追えていることが、なんだかとてつもなくありがたいことに思えてきた。誰に、というわけではないけれど、この視点から眺めることができた世界に感謝し、(ありがとうございます)と、しばし目を閉じた。
機長の丁寧なアナウンスで青いレモンの島と呼ばれる岩城島や村上海賊の城跡が残る因島を眼下にしていたことが分かる。戻ったら地図で確認してみよう。高度を下げ因島大橋に近づくとまた交話が聞こえる。あっという間の時間。だんだんと元の目線に近づき、水辺の鳥や家の瓦まで見えるようになってくると、「オノミチフローティングポート」が近づいてくる。着水!フロートが水を切るしぶきが上がる。海をゆく漁船をさけ、少し遠回りしながら帰ってきた。

POINT!

今回ご紹介しているコースは尾道水道や芸予諸島の遊覧を中心とした「しまなみコース」。他にも、潮待ち風待ちの港として有名な福山の名勝「鞆の浦」や「仙酔島」を巡る鞆の浦・尾道コース、SOFU パスタ&カフェのパスタランチとセットになった体験コースのご用意も。もちろんチャーターフライトも可能です。

二人の未来へのフライト初日。

「ありがとう!すごかったね!令和3年度末に完成予定って言ってたあの建設中の橋、見た?」少し青ざめた顔のヒロ君がいる。それどころではなかったようだ。デッキへと降りた時、もしかしたら何かあるかな?と少し期待をしていたけれど、そんなことはもう、どうでも良かった。飛行機が苦手なのに、こんな非日常体験を用意してくれたヒロ君に心から感謝をした。
ラウンジに戻ると、まだ本調子ではないヒロ君が「これ」と何かを手渡してきた。せとうちSEAPLANESの刺繍がされた、オレンジ色の可愛いフライトタグ型のキーホルダーだった。「サヤちゃん前にさ、『結婚指輪なんていらない。これで十分だ』ってクラフトビールのフタ、指にひっかけながら言ってたじゃない…」地ビールマニアの私だ、酔ってそんなこと言っていたかもしれない。「これにさ、新居の鍵をお揃いでつけよう」「え?それってどういうこと」「本当は『飛行機から見えるような建築物を作れるようになる』って、機内で言おうと思ったんだけど…話すどころじゃないし…とにかく一級建築士、必ず受かるから」「だからどういうことよ!」ヒロ君の肩を小突く。フライトタグの裏面にはREMOVE BEFORE FLIGHTの刺繍がある。「飛行前に取り忘れないように」という注意だ。毎日一緒の玄関から、この鍵を持って互いの夢へフライト、って?悪くないじゃない。日が落ちてきてマリーナの水面が輝きを増している。キーホルダーのリングを、左手薬指にひっかけてみる。少し大きなリングが、海面以上にきらめいて見えた。

POINT!

ラウンジ内にミニチュアが飾ってありますが、白い機体の他にも特別塗装機「ラーラ ロッサ」があります。塗装デザインの監修は株式会社スタジオジブリの宮崎駿監督、尾翼にある社名の揮毫は鈴木敏夫プロデューサーによるもの。運行状況はぜひお問い合わせを!

※本記事では、出演者の健康確認を行った上で、撮影のため一時的にマスクを外しています。

ツアーの詳細 / お問い合わせ先

問い合わせ先
せとうちSEAPLANES
住所
〒720-0551 尾道市浦崎町1364-6
TEL
0848-70-0388
営業時間
9:30 ~ 17:00
定休日
火・水曜日
対象年齢
なし
事前予約
要予約
※ウェブサイトからの予約(支払い方法はクレジットカード決済のみ)は5%のWEB 割引が適用。
※ウェブサイトからのご予約は搭乗予定日の3 日前まで。
※搭乗予定2 日前以降のご予約は、上記電話番号(予約センター)へお電話。

特にオススメの時期

4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月

感染症への安全対策について マークの説明はこちら

facebook
twitter
  • LόACX^O
  • Lhs
  • LόAfacebook

JeS