e-MTB で、瀬戸内360°ビュー
を山頂から堪能

「空へと向かう非日常」
高さと速さに、胸が高鳴る男旅。

映像制作会社に勤務するマサシ(25)とショウタ(24)は1 歳違いの同期。3 年目の仕事は、ハードながらも充実している。大きな撮影が一つ終わり、久々に取れた休み。彼女もいないし、共通の趣味のロードバイクでどこかに行くか、と話していたところ、先輩ディレクターの一言がきっかけとなって未知の自転車体験をしに、広島まで出かけることにした。

前じゃなくて、上へ。

「広島の、なーんにもない田舎の空の下でね、自転車を漕いでたらね。見えちゃったのよ。私が撮りたいものは全部ここにある、って」
「見えちゃった」二人揃って、確かめるように口にした。先日ようやく終わった現場での、先輩ディレクターとの会話だった。 世の中の状況に合わせて撮影現場のルールも一変したが、充実感はある。しかし、どこかに晴れない気持ちもある。時代のせいか?経験が足りない せいか?先輩は何が見えちゃったんだろう?少し、気になった。

広島。サイクリストの聖地として有名な「しまなみ海道」の存在はもちろん知っていたし、瀬戸内海の青い空と海の間に架かる世界規模の白い橋を走ってみたいという願望は昔から持っていた。しかし何だろう。みんなが知っているところを走るのではなく「やったことがない」ことに挑みたかった。
突き抜ける、って感じ?現場の準備をするように二人で、ああだこうだアイデア出しをしていると、うってつけの場所が見つかった。

「ここしかないよな。前じゃなくて、上、目指すぞ」
そうして僕たちは広島の海の道ではなく山の道を選び、広島市内の湯来(ゆき)町へと向かうことにした。

よく働く。が、よく遊ぶ。

湯来(ゆき)町は広島市中心部から車で1 時間、瀬戸内海と西中国山地など豊かな自然に囲まれた温泉地。秋冬はトレッキングやサイクリング、一年を通じてBBQ、キャンプ、温泉などを堪能できるアクティビティの宝庫らしい。

今回の目的は、長かった現場の骨休めとやったことがない体験。なので、「温泉」があり、乗ったことのない「e-MTB(電動アシストマウンテンバイク)」で山登り」がある湯来を選んだ。

市内から男二人でレンタカーに乗り、ショウタの好きなロックをかけて現場の思い出話をしていたらいつの間にか窓の外の緑が増え、湯来交流体験センターに到着した。サウナ、釣り、こんにゃく作り、そば打ち、ヨガ、ベーコン作り、写真教室…心躍るアクティビティのお知らせが、入り口にずらっと並んでいる。「おぉ、滝壺にダイブできるシャワークライミングなんてのもあるぞ」太田川の支流、ダムのない自然が残された山から流れる、県内随一の綺麗な清流である水内川は、季節によっては蛍も見られるという。

全国各地の河川で捕れた鮎を食べ比べ、その味を競うイベント「清流めぐり利き鮎大会」で4度も準グランプリを獲得した、その水内川の鮎を囲炉裏で調理し、かまどでご飯を炊いたりできるなんて最高じゃないか!?ショウタが目を輝かせている。

すると、今日のガイドを務めてくれるNPO 法人湯来観光地域づくり公社の佐藤さんが現れた。「こんにちは!今日はよろしくお願いします」佐藤さんたちは今、アドベンチャーツーリズムというものに積極的に取り組んでいるという。「アクティビティ」「自然」「異文化体験」3つの要素のうち2つで構成されている旅行形態のことで、観光の分野で注目されている旅のあり方だそうだ。

「参加される方は、自分を変えようとされていたり、挑戦などを求めてらっしゃいますね」思わずショウタと顔を見合わせた。

受付を済ませ、焚き火台で必要書類の記入をする。館内に飾ってあるキャンピングギアをうっとり眺めている僕らの目を察し たのか、佐藤さんが教えてくれた。「今、アウトドアブランドと一緒にキャンピングオフィスという取り組みもしていましてね。研修やミーティングを屋外でやろう!と市内の企業に研修などを行ってもらっているんです。一体感が高まったり、アイデアもよくでたりいい効果が期待されていますね」

佐藤さんの日焼けした笑顔を見て思う。ここでのよく働く、はきっとよく遊ぶ、なんだろうな。「社長に提案してみるか」とショウタが仕事以上のやる気を見せていた。

POINT!

今やドラマ化までされ、全国各地で盛り上がりを見せているサウナ。愛好家はサウナーと呼ばれ「ととのう」という言葉も一般的になってきました。そんなサウナを大自然の中で体験できるのが「湯来リバーサウナ」。清流の天然水風呂を味わうことができます。なんと温泉入浴券付き、仲のいいグループでレンタルもよし、サウナーたちと出会うサウナフェスもよし。街では味わえない未知の「ととのい」をぜひ体験してみては?ご予約は、湯来交流体験センターのHPから!
https://yuki-kouryu.jp/taiken/#riversauna

生き生きと、息せき切って。

いよいよe-MTB に乗って標高1050m の大峯山(おおみねやま)山頂を目指す。

佐藤さんからモード、アシスト、ギアの使い方と注意点などのレクチャーを受けて、駐車場で試走する。「めちゃ楽だ!」ショウタがはしゃぐ。「電動アシストがついているので、体力に自信がない方も気軽に乗ることができるんです。行きの登り坂も電動アシストのサポートで、異次元の登坂が体験できますよ!」街とは違う高揚感を携え、交流センターを後にした。

これから向かう大峯山は、廿日市市と広島市との境にある山で、広島市の最高峰の山だ。山頂からの展望は最高で瀬戸内海の島々や中国山地の山々はもちろん、快晴の日には、遠く四国、九州まで見ることもできるそうだ。

ハンドルを握り、漕ぎ出す。自分のバイクで街を走るのとは違う感覚。何より風が、空気が違う。「構成しているものが、元素レベルで違うな!」ショウタが吸い込んだ空気を大きな声に変える。

左手に川が流れている、というのもあるだろう。ひんやりとした空気を顔全体で受ける。頬が、口元が喜んでいる。口角が上がる。ゆるやかな坂道を漕いでいく。絵に描いたような針葉樹がそよいでいる。

「慣れましたか?ここで一息入れましょうか!」
大山地(おおやまじ)の滝、というところで佐藤さんがバイクを止める。全身を包むマイナスイオン!「天然水のCM みたいだな」普段は撮影する側だが、撮影される側のような気分になる。滝に手を伸ばし、冷たい水を口に含む。熱くなる気持ちを落ち着かせるにはちょうどいい冷たさだ。

透明で冷たいエネルギーを取り込んで、また漕ぎ出す。

さらに進むと一本道。道幅が狭くなるのに比例して、舗装の度合いは下がってくる。

木の間からの光が漏れている。昼なのに幻想的な風景だった。

「準備運動は終わりですね。さぁ、ここからが本番です」タイヤが砂利を掴み、生い茂る笹に分け入る。街中では味わえない未舗装道特有の振動を体全体で受け止める。ロードバイクとは別の興奮が、揺れによって込み上げてくる。

10分ほど進むと、「まだヘバってないですか?ここからが本番ですよ」と前を行く佐藤さんの声が聞こえる。ジャリ、というよりはゴツっとした岩が増えてくる。

「なにが見えるのかなぁ!」気合を入れるように声をあげるショウタ。「ここでしか見えないもので」「あることは」「確かだろ!」電動アシストのおかげで、かろうじて返事ができた。

心地よい振動で、汗と一緒に余計な考えやストレスが落ちていく。険しい道ならではの醍醐味だろう。スタートから、3,40分は経過しただろうか。今、体の真ん中にあるのは、ゴールへの渇望、それだけだった。

頂で、いただきます。

いかにも秘密の場所、というスペースにバイクを止め、今度は自分の足のみで山頂を目指す。道なき道は続く。

草木を踏みしめる足音、風で木々が擦れる音に自分の吐息が乗っかる。険しい山中で、耳に入ってくる音はそれだけだ。急な斜面に時々よろけそうになる。条件反射で手を伸ばすと、行手を阻んでいた木々が優しく手を差し伸べてくれた。ゴールへの渇望をエンジンに自分のギアをローにシフトする。五体と五感をフルに使って、上へ目指す。突き抜けるまでもう少しだと肌で感じた次の瞬間、空が見えた。

「お」
「あ」

一瞬で空気が変わった。

「お疲れ様でしたー!」

佐藤さんのザックの熊よけの鈴の音が響く。ゴールをたたえてくれるかのようだ。いったん目をつむり、360°の絶景を楽しむ心の準備をする。さっきとは違う風の音と、落ち着いていく吐息だけが聞こえる。

気持ちが整った。胸いっぱいに息を吸い込んで、大きく目を開いた。

来ないと見られない景色がある。
言葉は交わさず、その意識を共有していた。フワッと風が吹いた。悩みと疲れが、一気に瀬戸内海の方へ飛んでいったような気がした。

「さぁ、お昼にしましょう」佐藤さんが用意してくれていたのは、山賊むすびだった。「いただきます!」目の前に広がっているのはデスクの資料の山ではない。瀬戸内海や中国山地だ。

しぐれ煮、梅、おかか、しゃけ、佃煮、たらこ、こんぶが入った山賊むすびは、それだけで一つのお弁当のようだった。「最高のロケ弁だな」具の一つ一つが胃から腸へと染み渡り、細胞を労っていくように感じられた。

「祝杯あげましょうか」佐藤さんが、ザックから小鍋と携帯用コンロを取り出しコーヒーを淹れてくれた。空に近い場所で、人生最高のコーヒー。一息つきながら、ここにきた理由を振り返る。

そうか。新しい自分、新しい感情に出会いたかったんだ。
挑戦して、登り切った先の風景が見たかったからだ。
見えた。色々見えた。大丈夫だ。

腰かけていた岩から立ち上がる。石の上にも三年という諺を思い出す。そんなに待てない。居ても立っても居られない…!

もう一度、真上を見上げ空に向かって、決意を叫ぶように息を吐いた。

悠々と、湯、友と。

お腹も心も満タンにチャージができた。あとは下りを楽しむだけだ。行きに手こずった険しい道も、今は愛おしく思える。揺れも言ってみれば腹ごなし、市内に戻ったら今晩は何を食べようか?そんなことを考えるようになるくらいには余裕があった。ジェットコースターのような加速感や浮遊感を体験しながら、湯来交流体験センターに戻ってきた。

「色々クリアになりました。山頂のコーヒーは、今まで飲んだどんなコーヒーより、スペシャルでした」「バイクと山登りで、絶景の他にも、僕たちが探していたものが見えました」今日のお礼を伝えると、役者さんにそうするかのように、佐藤さんが拍手で讃えてくれた。「やり切ったな」大きな現場を終えた気分で、佐藤さん、ショウタと拳を合わせた。

バイクを返却する。束の間だったが貴重な体験を快適にサポートしてくれた相棒だ。少し名残惜しさを感じた。

隣接する湯来ロッジの温泉に入る。檜風呂に大理石風呂、サウナまである。骨休めの時間だ。体を流し、源泉かけ流しの湯に浸かる。身を沈めると、この前までの現場と今日の体験の充実感が溶け出し、湯船から溢れ出していくようだった。代わりに英気が全身に流れ込んでくる。

露天風呂から絵画のような景色を眺める。来た時よりも、緑が鮮やかに感じられる。頂上で、空を見上げながら感じたことを思い出していた。
迷わず「好き」を突き詰めればいいんだな。自分の「好き」だけは、誰にも、どんな状況にも左右されない。迷わずそれを信じて、一日一日を精一杯登り切ればいい。その日の頂上で、上を向けたらいい。

「見えたな」「見えちゃったな」

だったらその先、行くしかないな。

「ありがとうございます。見えちゃいました」
風呂から上がったら、先輩にメッセージを送ろう。山頂から、澄み切った空へ向かうような、僕らの写真と一緒に。

POINT!

開湯以来1500 年の伝説を持つ湯来温泉。かつては「広島の奥座敷」として栄え、昭和30年には国民保養温泉地にも指定されました。その象徴として多くの人に親しまれた湯元露天風呂が2019年、誠の桧湯(まさのひのきゆ)として19年ぶりに復活。ヒノキの浴槽が香る貸切露天風呂として、ファミリー層などの人気を集めています。最大6名まで利用可能、公式HPのカレンダーを確認してご利用を!
https://yuki-yumoto.com/

※本記事では、出演者の健康確認を行った上で、撮影のため一時的にマスクを外しています。

ツアーの詳細 / お問い合わせ先

問い合わせ先
湯来交流体験センター
住所
〒738-0721 広島市佐伯区湯来町多田2563-1
TEL
0829-40-6016
営業時間
9:00~18:00
定休日
月曜日
対象
身長155センチ以上
事前予約
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